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第六十話 夜明け

Auteur: 文月 澪
last update Dernière mise à jour: 2026-01-15 16:00:33

 体は疲労と裂傷でヘトヘトだ。お腹も減ったし血も足りない。それでも負けてやる気など微塵も無かった。

 上空に視線を向けると、そこでは相変わらず伽陸が笑いながら戦いを傍観している。その態度がムカついた。

 妖魔に目をやる。全身傷だらけだが、首を落とすにはまだ足りない。さすがに弱点なだけあって守りが硬かった。ならば守れない場所を狙えばいい。

 四肢に、そして妖刀にまで霊力を巡らせ、地を蹴り駆ける。

 妖魔は立ち上がり腕を振り回した。

 鋭い爪が頬を掠め、血が舞う。

 それにも構わずに突進する。

 猛攻を掻い潜り巨体に肉薄すると、全体重を乗せて曝け出された腹に突きを叩き込む。

「おぉぉぉぉぉぉおおっ!」

 雄叫びと共に渾身の力で斬り上げれば、腹が裂け内蔵が飛び散り、腐敗臭を撒き散らしながら妖魔が絶叫する。

 そのまま前方に倒れ伏し、起き上がれないまま踠き苦しむ様は醜悪だ。

 律は肩で息をしながら首をよじ登り、頭上に立つと刀に渾身の力を込めて脳天に突き刺した。

 それは頭蓋を割り脳に達する。そのまま掻き回すように抉ると、妖魔は痙攣を繰り返し動かなくなった。さすがに脳を破壊されては、特殊な妖魔と言えど一溜りも無い。

 それを確認して空を仰ぐ。

 睨んだ先には伽陸の姿。

 その顔は朝日に照らされ、はっきりと認識できた。そこにあったのは白い顔。目と口だけが弧を描く仮面だ。それはまるでピエロの様で気味が悪い。その右側面に血の様な赤でろくの文字が刻まれている。無表情な笑顔が楽しそうに揺れ、俳優に送るように拍手した。

「お見事でございます。出向いた甲斐があったというものです。ますます欲しくなりました」

 欲しい?

 何の事を言っているのだろうか。

 睨み合う二人の間を朝日が焼いた。

 それと同時に大量の足音が近づいてくる。やっと応援が到着したようだ。

「次は君だよ」

 律が刀を向けて挑発するも、伽陸は肩を竦め笑う。

「折角のご指名ですがそろそろお暇いたしま

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